弁護士が介入して調整を図ることによって,難航していた遺産分割協議が整った事例
【キーワード】遺産分割,不動産
被相続人の死亡から10年以上経過。相続人は5名。遺産は不動産のみ。
相続の手続きが何もなされず,遺産である不動産も被相続人名義のままとなっていたところ,ある事情から早急に遺産分割をして不動産の名義を移転する必要が生じたが,相続人5名が各々遠方(海外を含む)に居住しているうえ,互いに関係が良好ではなく,当事者同士で遺産分割協議を行うことは困難であった。
そこで,相続人の1人から遺産分割協議の依頼を受け,遠方の相続人とは電話やメール等で交渉を重ねた結果,最終的に相続人1名が不動産をすべて取得し,他の相続人は代償金を受けとる内容で遺産分割協議が成立した。
コメント
相続人がそれぞれ遠方に住んでいる場合,遺産分割協議をするのも一苦労ですが,相続人同士の関係が良好でない場合はなおさら困難が伴います。こういった事情で遺産分割協議ができず,相続の手続きがなされないままになっているケースが時々見受けられます。
遺産分割の協議が整わない場合や協議が難しい場合は,遺産分割調停を申し立てるという方法がありますが,調停は相続人の全員が出席することが原則となります。そのため,本件のように相続人がそれぞれ遠方に居住している場合は,スムーズに調停が進まない場合もあります。
このケースは相続人それぞれが遠方に居住(しかも1名は海外在住)であり,しかも早急に不動産の名義を変更する必要に迫られており,できることなら調停外の協議で行うのが適切な事案でした。
弁護士が相続人間の中継基地のような役割を果たすことによって,遠方に居住する相続人間の遺産分割協議の成立まで漕ぎ着けることができました。