すべてを譲り受ける遺言があっても,遺留分を考えて遺産分割を申し出て望ましい結果を得た事例

【キーワード】遺言,遺産分割,代償金

 

兄弟姉妹間の相続で,依頼者は被相続人から自筆証書遺言を預かっていた。すべての遺産を依頼者に相続させるという遺言であった。相続財産は不動産と預貯金であった。

 

速やかに家庭裁判所に遺言の検認を申し立てるとともに,他の法定相続人ら(相手方ら)に遺産分割の申出を行い,結局,協議の結果,依頼者が預貯金を,相手方が不動産を相続し,依頼者が相手方から数百万円の代償金の支払を受ける遺産分割がまとまった。

 

コメント

たとえ遺言があっても,法定相続人の全員が合意して遺産分割することによって,遺言とは異なる分配をすることもできます。

本件は,相手方らが遺留分を求めること,そして,不動産には相手方らが経営する会社の債務の抵当権(担保)が付いていて相続しても処分には困難を伴うことが予想されました。
そこで,本件では,遺言どおりではなく,より望ましい形の遺産分割を模索することになりました。
そのようななかで,遺産分割協議の結果,依頼者は,預貯金と代償金(相手方らが不動産を取得する代償として依頼者に支払われるお金のことです)という流動性の高い財産を取得することができました。